Autoship 3D面フェアリングプログラムは、通常の現尺現図作業を行う、現図技術者の要望を取り入れて、開発/改良が進められた船型フェアリングソフトウェアです。
船型のフェアリングには、基本設計の縮尺線図や現尺現図作業で行われるSEC、WL、BLなどの船体表面上で交差する曲線の交点を基準に、製図台の紙面や現図場などの2次元平面上で、バッテンを廻して行われるクロスフェアリングや、AutoshipやMaxsurfなどのパソコン船型モデリング/フェアリングソフトウェアで採用されている3D立体空間上で、直接船体曲面を作成して、整えて行く手法が基本となる面フェアリングがあります。
面フェアリングは、船型そのものが立体的に把握できるため、設計者の創造性を最大に引き出すことのできる優れた特徴があり、また、面全体をフェアリングするためSEC、WL、BLなどの船体表面上で交差する曲線の交点オフセットも、クロスフェアリングとは異なり、お互いにずれたりすることはありません。しかも、船体のフェアリングが完了すれば、任意の位置での船体断面情報が、精度の高いデジタル情報として取り出せるため、NC切断を可能にするためには欠かせないソフトウェアとなっています。
3D面フェアリングでは、曲面計算に使用する制御点と呼ばれる入力データを基にして、コンピュータが3D曲面を創成して行くため、設計者は要求される船型となるように制御点を必要な数だけ、適切な位置に配列して大まかな形を整え、さらに個々の制御点を微調整してフェアリングを行います。このような手法では、設計者が新規に船体曲面をモデリングして行く場合は、気に入った船型となるように、自由に制御点の配列を決めることができ、比較的簡単に、早くフェアリングされた船型モデルを作成できます。
しかし、基本設計でクロスフェアリングにより、設計された船型が既にある場合などでは、既に決定されたシヤーライン、チャインライン、ステム/キールラインあるいは、ステーション断面形状オフセットデータにぴったり一致する形状となるような、3D船体曲面を作成してフィットさせて行く作業が必要になります。この場合、制御点をどれだけの数、どの位置に入力すれば、与えられたオフセットにぴったり一致するような曲面が創成できるのかは、制御点を入力しながら、制御点をどれだけの数、どの位置に増やしてゆくかを試行錯誤しながら、目的とする船型に到達するまで船体曲面の編集作業を繰り返す必要があります。
通常このような作業は、根気が必要な先の見えにくい繰り返しの作業となりがちで、船型フェアリング作業者にとっては後どのぐらいで、与えられたオフセットにぴったり一致した船型フェアリング作業が終了できるのかを予測できないまま、プレッシャーを感じながら作業を続けることも多くありました。
そこでAutoshipシステムでは、複数の異なる種類や性格の平面や曲面で構成される船型を扱う必要がある、3D面フェアリングの短所を取り除くため、世界中の現図技術者からの要望を取り入れ、新規に船型を開発するのではなく、与えられた船型オフセットに忠実な船型を、いかに早く、いかに容易に創成し、フェアリングして3D船体曲面を完成させることを可能にする追加機能を数多く開発してきました。
Autoshipの現図技術者の要求を満たすための主な機能には、以下のものがあります。
- 入力したオフセット値の位置に制御点が存在するカーブの作成ができるため、与えられたオフセットを基に、シヤーライン、チャインライン、ステム/キールラインあるいは、ステーション断面形状などのカーブを作成して、基本カーブテンプレートとし、それをコピーした編集用のカーブの曲率を表示させてフェアーかどうかを判定し、必要に応じてテンプレートのカーブと比較しながら、よりスムーズなカーブになるようにフェアリングできます。
- フェアリングされた、整ったカーブを基に船底、船側ほかナックル境界線で分割できるような船体曲面を、それぞれ任意の数や配列の制御点で構成された単独の曲面として創成/フェアリングできます。この場合、作成された船体曲面のエッジは、基のカーブに完全に一致した形状となります。
- 異なった種類や制御点構成の異なる曲面を、連続性を保ちながら隙間なく連結できます。この場合、チャインラインなどの一本のカーブに、船底曲面や、船側曲面をそれぞれアタッチしたり、あるいは船底曲面のチャインエッジに、船側曲面のチャインエッジを面同士直接アタッチすることもできます。この機能により、他のソフトウェアでは手間と時間が掛かる曲面のエッジのフェアリングが簡単に行えます。
- 同一曲面内で、平面部分と、曲面部分を混在させることができます。必要ならば、それぞれ独立した平面と曲面に分割することもできます。
- カーブや曲面の一部分を、同じカーブや曲面のまま、次数に関係なく直線化することができます。
- 制御点を、矢印キーで必要ならば1/1000mm単位で正確に一方向に移動制御できます。もちろん、マウスでのコントロールや、直接数値入力も可能です。
- カーブや曲面の制御点列についての曲率を、平面、側面、正面、立体方向ごとの成分曲率を、4画面同時に表示しておいて、その内のいずれかにについてフェアリング作業を行うことができます。
- 色分け曲率分布表示機能で、曲面の曲率変化を確認しながら、面のむら取りフェアリングができます。
- 制御点列編集時にズーム拡大表示を維持したまま、制御点間を移動/表示できます。
- カーブに沿った櫛状曲率(ポーキュパイン)表示に加えて、微妙な曲率変化が読み取れる超敏感な直線基準の曲率グラフ表示および、SEC、WL、BLについての曲率表示により、制御点列や曲面全体のフェアリングを、必要ならば1/100mm単位の高精度で行えます。
- カーブについて、例えば高さ方向の形状は変えずに、幅方向のみ自動フェアリングできます。
- カーブや、曲面の形状を維持したまま、制御点/列を増やすことができます。
- カーブの分割や接続が自由にで、カーブの中間に複数のコーナーポイントを追加できます。
- カーブのコーナーポイントに、半径指定で円弧を挿入できます。
- カーブや曲面上に存在する点を作成し、その点に別の複数のカーブ端部をアタッチできます。
- 曲面上に存在するカーブを作成し、そのカーブに別の曲面の端部をアタッチすることができます。また、カーブ上に存在する別のカーブを作成できます。
- カーブについて、一平面内でオフセットさせてカーブを作成できます。
- 連続して隣り合う、2曲面の間にローリングボールフィレット面を作成できます。
- 交差する2曲面間の交差線を作成できます。その交差線でそれぞれの曲面をトリムできます。
- トランサムにおける船底キャンバーをコントロールした展開可能面を作成できます。そして平面展開形状データをDXFデータとして出力できます。
- SEC、WL、BLおよびシヤーライン、チャインライン、ステム/キールラインなどのオフセットをMS-Excl形式のデータとして出力できます。
- 曲面の解像度を、それぞれ単独に最大90,000面格子まで任意に設定できます。
- DXFデータ出力時にSEC、WL、BLに任意の名称を指定してラベル付きで出力できます。また、ポリラインの精度を自由に設定できます。平面、側面、正面にレイアウトされた2D船型線図DXFデータが出力できます。
- 等/不等間隔で指定したフレーム断面に、フレーム名称を付加してDXFデータ出力できます。
上記の機能に加えて、その他、通常の3D船型モデリングに必要な、現図技術者に満足して頂ける様々な標準機能が含まれております。他のフェアリングプログラムとそれぞれの機能を比較してみて下さい。Autoshipがプロの現図技術者用の道具として真に役立つよう、よく考えられていることが判るはずです。
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